2010-01-01から1年間の記事一覧

追悼 2010年

■ 追悼 2010年 デニス・ホッパーが死んだ。夏の終わり頃だったろうか、忘れてしまった。かつてバスクリンのCMに出ていた彼も、昔はまじめに映画を撮っていた。『イージー・ライダー』で知っている人も多いだろうが、これを撮ったばかりにハリウッドから追放…

映画ノート 5

■ ジャン=リュック・ゴダール 『ゴダール・ソシアリスム』 * 「いまだ光を放たざる、いとあまたの曙光あり」 という インドの詩人、リグ・ヴェーダのいった言葉を ニーチェは気に入っていて、 じぶんの住まいの門戸にその文句を彫りつけていたという。「あ…

芝居ノート 3

■ ナカゴー特別劇場vol.3 『町家の女とベネディクトたち』 コンサートに行った前日、4日の晩は芝居をみていた。出演者のひとりである桃ちゃんから11月なかばにメールをもらい、返事も出さずに放っておいたら、いつのまにかすっかり忘れていた。2、3日前…

コンサートノート 4

■ 高橋悠治+漆原啓子 昭和音楽大学ユリホール その2 何もない空間中心にたって、すくっと姿勢をただし、 ゆっくりと両手をあわせる 次にゆっくりとはなし、いっきにパチンと拍を打つ 音がひびく この場合 音のひびきは空間の角に流される 床下の四画の四隅…

コンサートノート 3

■ 高橋悠治+漆原啓子 昭和音楽大学ユリホール その1 * それにしても、なんとすばらしい演奏だったことか! * はれやかな、かわききった気流にみたされた12月5日、新百合ヶ丘にある昭和音楽大学ユリホールでおこなわれた高橋悠治のコンサートのことだ…

映画ノート 4

■ リチャード・レスター 『THE KNACK』 音楽用の映像、今で言うところの「Promotion Video」、それはかつてヴィデオではなく、フィルムで撮られていた。フィルムはおろか、磁気テープという物質性が、不可視的領域に追いやられ、ハード・ディスクやDVDメディ…

音楽ノート 5

■ ジェーン・バーキン 『イエスタデイ・イエス・ア・デイ』 真夜中の蝶、 例えばそれを手のひらからそっと逃がしてやる。 そこで、すぐに気付いたことだが、 またたくまに視界から消え去った蝶はその鱗粉だけを 指先に残していったのだった。 真夜中の、深い…

現代戦争ノート 3

■ 現代戦争ノート 3 たまたまデモに出くわして、号外をもらった。デモ隊は200人くらいで、白地に赤のいわゆる「日の丸」が50旗ほど見える。構成員は中年層の男女半々くらいだが若者もちらほら見える。号外は『桜新聞』のもので渋谷に本部があることが…

IMAGON STUDIES vol.2

* 「イマゴン・スタディーズ」第2回目はカントのアンチノミー論を イメージ論一般に導入してレクチャーします。「イメージ」の外部 としての「イマゴン」を「脱−表象」というキーワードから考察し、 商業主義的かつ人間主義的イメージを最吟味してゆきます…

読書ノート 8

■ 長尾真 『情報を読む力、学問をする心』 「私は中学生の頃から全人的に生きたいと思っていた。何かに片寄らず、バランスがとれ、全てを理解し、しっかりした判断力を持てるように努力すること、そして常に神の存在を意識することに努めてきた。」・・・と…

芝居ノート 2

■ 森桃子 with Jim O’rourke 『むずかしくしない』 * アニエス・ヴァルダというフランスの映画監督が撮った『歌う女・歌わない女』という作品がある。「なんと良いタイトルなのか」と、ずっと、多分15年以上思っているのだが、僕はその映画を見たことがな…

美術ノート 10

■ バーネット・ニューマン展 川村記念美術館 その4 ここに、一枚の紙があるとしよう。君はそれに何を描いてもよい。ねこのイラストでもいいし、家計簿の計算式でもいいし、ちょっとしたアイデアのメモでもよいし、ラヴ・レターの下書きでもよい。そして一枚…

音楽ノート 4

■ スクエア・プッシャー 『ハード・ノーマル・ダディ』 スクエア・プッシャーの2ndアルバム『ハード・ノーマル・ダディ』を聞いた。始めて聞くにもかかわらず「ああ!これだったのか!」と思った。5曲目に収録されている「chin hippy」のことだ。 1996…

映画ノート 3

■ アンリ・ヴェルヌイユ 『ダンケルク』 「1940年5月10日、第二次大戦下にあったフランス軍とイギリス軍の同盟軍(37万人)が敵国のドイツ軍に北フランスの港町、ダンケルクまで追いつめられた。時の英首相、ウィンストン・チャーチルは海軍、空軍…

美術ノート 9

■ バーネット・ニューマン展 川村記念美術館 その3 ヨーロッパ社会のおいては、キリスト教によるイデオロギーが支配的だった。それはイエス・キリストという絶対神(象徴)に人々が仕え、さらには芸術も、神や神が住まう教会に仕えるべきなにかだというイデ…

美術ノート 8

■ バーネット・ニューマン展 川村記念美術館 その2 バーネット・ニューマン、アルシル・ゴーキー、ジャクスン・ポロックなど、初期抽象表現主義の画家たちがニューヨークの美術シーンにおいて頭角をあらわしてきたその背景に、1930年代に起こったドルの…

映画ノート 2

映画ノート 2 ■ 伊藤大輔 『王将』 1948 伊藤大輔は清水宏とともにトラッキングショットを好んでよく使う。(ただ違うのは清水宏は水平からきっちり天地をわけたものが多いのに対し、伊藤大輔のそれは曲線を描くようなマングース的トラックアップをも導入し…

美術ノート 7

■ バーネット・ニューマン展 川村記念美術館 その1 * おろしたてのまっさらな絨毯のような緑の芝生の丘陵地を降りると、光にあふれた青空を反射させる池に大きな白鳥がたたずんでいる。そんな壮大かつ瀟酒な庭園に囲まれている美術館の2階に「アンナの光…

音楽ノート 3

■ くるり 『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』 ▼「まあフニャっといきましょう。今、9月8日の午前11時29分で、すごい久々に雨が降っている。」 ●「朝、おきたら外で音が鳴っていて、窓ガラーって開けたらホンマに降っていて思わず喜んでしまったな…

現代戦争ノート 2

■ 現代戦争ノート 2 先日帰省して、京都の実家で『ゲゲゲの女房』を見た。このNHKの連続ドラマ番組は今年2010年の春あたりから放映された。2009年の暮れ、調布市内にはキャンペーンの広告物がちらほらと増え始めていて、ロケの撮影現場にもたまたま…

映画ノート 1

■ 鈴木則文 『トラック野郎 御意見無用』 1975年 過剰である。話の展開が早く、カメラワークも激しく、色彩も豊かで、台詞の数も多く、カット数も多い。誰もがその「過剰さ」に、牙を向けることなどできないだろう。この映画においては、まさに「過剰さ…

ランダムノーツ 11

■ランダムノーツ 11 ・東京メトロのホームで電車を待っていたら、左腕にサッと何かがあたった。ハッとして見ると、モンステラだった。モンステラは花屋さんでは見かけたことがあるが、屋外で、しかも駅のホームなんかで見かけたのは始めてだった。思わず観…

ランダムノーツ 10

■ ランダムノーツ 10 ・ハワード・ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』(DVD)。1940年アメリカ映画。たまに昔のアメリカ映画を観たくなる。ハワード・ホークスの映画は『ハタリ!』と『暗黒街の顔役』がわりと好きで、2年に一回は見直していたが…

ランダムノーツ 9

■ ランダムノーツ9 ・フェリーニの『ジンジャーとフレッド』(DVD)。1985年、イタリア、フランス、西ドイツ合作作品。フェリーニの映画の印象はどの作品を観ても「ストーリーが明白ではない」というものだった(『道』以外は)。むしろリリパッド(小…

ランダムノーツ 8

ランダムノーツ 8 ・われわれは現在、言文一致を意識しながら話したり、書いたりしているわけではない。そういう意味で明治期に推進された言文一致政策とは現在時において意識/無意識からかけ離れた、あるいは対象として認識しえない「物自体」のようなも…

ランダムノーツ 7

■ ランダムノーツ 7 ・あるソフトな会話の中で「正岡子規と次に作る映画は関係あるのですか?」と聞かれ、答えに窮した。「ベースボール」を「野球」と訳したのは正岡子規だ!とかそんな話に持っていきお茶を濁したものの、会話終了後、おおざっぱでもいい…

ランダムノーツ 6

■ ランダムノーツ 6 「ミュージックマガジン」でボアダムズの特集をしている。懐古も含めていろいろ思うところがあった。まず、「相対的なところでフワフワやる」んじゃなくて、「絶対的な差異を導入しえた」いう意味では90年代初頭における国内の音楽シ…

ランダムノーツ 5

■ランダムノーツ 5 ・「言文一致」。ここで「一致」という単語に着目してみると、それが一種の透明な伝達に関わっていることが了解できる。そして、「言」(言われること)と「文」(書かれること)の乖離が両者の特性(同一性)を強化し、言語の準拠枠(言…

ランダムノーツ 4

■ ランダムノーツ 4 つづき。いい感じでアイデア、及びそれを裏打ちしてくれるロジックの輪郭が降り注ぐ。コンセプトは「言文不一致」。これは以前から決めている。ようやく制作にとりかかるタイミングが到来した。うれしい。「ステラ風マンガの吹き出し=…

ランダムノーツ 3

■ ランダムノーツ 3 ・夜は酔っぱらって、だいたい0時か1時にダウンして、横になって3時半か4時に目が覚める。二度寝できる日もあればできない日もある。仮に二度寝しても浅い眠りにはちがいないので、いずれにせよ昼間は強烈に眠くなる。湯船につかる…