ランダムノーツ 4





■ ランダムノーツ 4





つづき。いい感じでアイデア、及びそれを裏打ちしてくれるロジックの輪郭が降り注ぐ。コンセプトは「言文不一致」。これは以前から決めている。ようやく制作にとりかかるタイミングが到来した。うれしい。「ステラ風マンガの吹き出し=朗読自動販売機→万葉集の朗読」という具体的メカニズム(プログラム)に圧縮されているコンセプトは、「言文一致の制度的メディウム=判断不能性→朗読による言文一致=意味のパーフェクトな伝達」というふうに言い換えられる。/さらに(別次元におきかえて)言うと「トーキーの出現」と「編集における意味の伝達」の一致が逆説的に要請する「言文不一致=意味の非-伝達、すなわちナンセンスの顕現=(強い意味での)笑い」というふうにパラダイムシフトすることができる。/そこで思い出すのは『日本近代文学の起源』(の最初の方)における柄谷行人の記述である。/仮説の仮説。「トーキーの受容」と「言文一致」と「マンガの吹き出し」と「郵政省」(前島密)は深いところでかかわり合っている。/そして柄谷行人は「言文一致は世界的なレベルで起こった」、と言っている。////サイレント映画=逆立ちになった音像(クランビルド・・初期フロイトの用語)のイマジネール(想像的)な唯物論的実現体。対して、トーキー映画=音像の抑圧(抑止)=意味のシンボリック(象徴的)な唯物論的実現体。////吹き出し(スピーチバルーン?)に関する覚書。線描=形象→言葉を入れる器(フレーム)=登場人物の感情のフレームの一時的(瞬間的=一齣的)規定。////トーキー映画における(スピーチバルーンが表象されえない)セリフの限定的同一性、及び意味伝達の透明性の起源。確定記述的政治一般。述語が主語を規定する日本語構造一般についての分析。(2010-07-27)