2011-01-01から1年間の記事一覧

映画ノート 8

■ ランダル・クレイザー 『グリース』 その1 (なぜ、女の子はピンクで、男の子はブルーで「代理表象」されていたのか?誰がこんなこと決めたのだろう?少し考えてみたほうがいい) * 1978年、僕が青いセーターをおそらくもっとも愛した頃、チビッコの…

■40

■ 40 LPに寄せる たったいま、やっとの思いで買ってきたばかりの まっさらなLPのジャケットから、なかに収められたレコードを出す。 半透明のビニールの中に、テラっと光る 手入れの行き届いた髪の毛のような その美しい艶のようなレコード盤が入っている…

■39 

■ 39 メモ・・・リュミエール期とエディソン期の余白 映画にとって「YOU TUBE視聴」などの動画環境がもたらす個的全能感の<自己充足性/自己完結性>は一言で言えば「オシロスコープ的退行」であり、「エディソン的退行」である。さしあたり1対1の対応…

■38

■38 笑いについて 「BIWAKO ENEMAに煙巻かれした「便秘」も完治しようとしているこの12月5日・・・僕はギャグについて思考するとしよう。・・・さて、1900年、フランスのフィロソファー、アンリ・ベルクソンの『笑い』によると・・・、そして中国の…

■34〜37

■ 34 撮影される事/アクター/アクトレス/待ち時間 <■33>で触れた「写真撮影」について、もうひとつ書き加えておこう。2週間前あたりか、「ノガミさんを撮らしてほしい」ということで銀座近くの新富町まで出かけた。前日に「ゴハンは用意してあるか…

■33

■ タイトルと内容は関係なくていいんだヨ!君の名前と君の中身も。 午前中から近所の成城四丁目で撮影。と言っても、今回は被写体だ。来年3月頭の上映会場のHP掲載文のプロフ写真用に15枚ほど、ジャケットを2着もって。近所にお住まいの大学生は写真家の…

■21〜32

■21 ショール、というのか、そういうものを色ちがいで2本買ったのだが、いまいちしっくりこない。(頭に巻き付けて電車に乗ったのだが、ああ、ヤバいヤバい何やってんだオレ状態だ 笑/笑)。ショールにはシュール(正確な仏語発音ではシュル)さが足りな…

サタデーナイト・フェイバリット #3

■ ベサメ・ムーチョとおっさんのエロス 18時、ジバンシィかディオールか、¥100,000は下らないだろう琥珀色のワンピース・エレガンスを極めたY、そして丸井メンズ館的な今風ユース・ファッションのKと、メトロ神楽坂駅B5出口から出たと地上で合流す…

サタデーナイト・フェイバリット #2

■ サタデーナイト・フェイバリット #2 1 ブラウン・チューズデイ、先週につづき、スパニッシュ・リストランテで食事。今日は3人で。パエリャ・マリスコス、イベリコ豚のチョリッソ、サングリア(ちなみにサングルは「血」の意味、ギヨッとしないでもない…

美術ノート 10

■ 松浦寿夫展 仙川アヴェニュー Plaza Gallery どんよりと曇った日曜日の午後、さっき読み終えたばかりのブラック・ノヴェライザー、サミュエル・R・ディレイニーによる『ジ・アインシュタイン・インターセクション』内の一節、「百万の歌声が一つの賛歌にと…

サタデーナイト・フェイバリット ♯1

■ サタデーナイト・フェイバリット ♯1 ■1 絶賛しよう!そのパフォーマティヴ・センスを!・・・バグルスの名曲をもじっていえば『RADIO STAR KILLD THE TV STAR』とでもいうべき、風才輝く菊池成孔の粋な「夜電波」を今、聴いてい…

■1〜20

■1ある人にある事を頼み、打ち合わせをした直後、ある人から「私、俳句書いているんですっ!」といきなり言われ、彼女は超軽量ノートブックPCを開けた。トゥイッターに溜め込んであるその句集タイトルは「よもやまナントカ」。・・・部屋に帰ると水浸し、お…

読書ノート 10

■ 陣野俊史 『フランス暴動 移民法とラップ・フランセ』 その2 「フランス暴動」について復習しておこう。ひとまず陣野俊史の『フランス暴動 移民法とラップ・フランセ』にしたがって。2005年10月27日夜、パリ北東郊外のクリシー・ス・ボワ市。3人…

読書ノート 9

■ 陣野俊史 『フランス暴動 移民法とラップ・フランセ』 その1 先日、イギリスで暴動があった、と人づてに聞き、ふだんテレビも見ず、新聞もたまにしか読まない私はネット上で流れている暴動の映像をいくつか見た。(2011年8月6日、北ロンドンで警官が黒人…

映画ノート 7

■ アニエス・ヴァルダ 『カンフー・マスター!』 その2 恋愛はどこにでもある。それらはいくらかありふれている。しかし、死に至る恋愛の狂気、それは恋愛そもののからはもはや逸脱した過酷な形態であり、差し当たってありふれてはいない、と言える。ところ…

映画ノート 6

■ アニエス・ヴァルダ 『カンフー・マスター!』 その1 あらゆる恋愛映画は退屈である、ゆえに、恋愛映画を模倣するような恋愛はすべて退屈である。逆に恋愛そのものは刺激的である、ゆえに恋愛映画が模倣したくなるような恋愛は刺激的である。 * 恋愛その…

酩酊回廊 16

■ 酩酊回廊 16 君はシャルルヴィルへ行くだろう。 パリ郊外、リモージュの大学で文学の研究をするといいながら、 かのA・Rの故郷へとゆっくと足を運び、つぶさに彼の幼少期の足跡を 見て取るだろう。 季節はもう秋だ。 A・Rの『une saison en enfer』(187…

酩酊回廊 13〜15

■ 酩酊回廊 13 注文の多い料理店は、なぜそんなにも注文が多かったのか。注文が多いということは、それだけ人気のある店で、開店から閉店まで忙しく繁盛していて、店員も休みなく手足を動かし、入店客も絶えることなく、テイクアウトの客も、出前の客もひ…

酩酊回廊 10〜12

■ 酩酊回廊 10 午前中、テレビに向かってカメラを回す。ずいぶん前に大きめの平面テレビに変え、撮影上ブラウン管のテレビとはとちがい走査線が映らないことがわかった。この場合「それがどのように撮られうるか」という実際的局面においては、画像の電送…

酩酊回廊 9

■ 酩酊回廊 9 「ここでいろいろ聴けるで!」とcycheouts-ghost(サイケアウツ−ゴースト) のオオハシ君よりメールがあったので、リンクしときます。 _____________________http://soundcloud.com/cycheouts-ghost _________…

酩酊回廊 5〜8

■ 酩酊回廊 5 木陰で『ハインリヒ・ベル短編集』。「スパルタ」「黒羊」「笑い屋」、と3つの短編を読む。純粋なる「享楽的読書」が目的ならば、そのジャンルを問わずして、接近するのがよかろう。長編小説は、「最初から最後までちゃんと読んでくれ」と懇…

酩酊回廊 1〜4

■ 酩酊回廊 1 器に凝る性分でもないが、徳利と盃だけはなんでもいいというわけにもいかず、通年使っていたモノにもとうとう飽きがきて、あたらしいものを求めに新宿の百貨店に出向いた。ガラス製の徳利型をしたものが、盃2つと合わせて売っていた。下っ腹…

『RED RED RIVER 2』京都上映無事終了

■ 上映終了 対談では、映画の根本的なところ、「映画とは、○○・・・」と言うときに、自明に前提している「映画」がそもそもいったい何を指しているのか、という問題から話した。 10年くらい寝食をともにしたあと、別離した妻も観に来てくれて、いろいろ指…

『RED RED RIVER 2』 京都上映 その5

久々の京都上映だ。東京に引っ越す直前に京都造形芸術大学の映像ホールで『喪服』と『裏地C面』の2本を上映して以来だろう。2003年かそのあたり。当時のことはあまり覚えていないが、今回は自発的に企画を立ち上げたため、宣伝もほとんど一人でやり、…

美術ノート 11

■ 藤本由起夫 n/t phonography/photography phonograph フォノグラフは蓄音機のことで、エジソンが発明したということになっているが、音源が録音されたのはその20年前の1857年、(音楽関係者ではなく)印刷技師のレオン・スコットが行った、という。…

『RED RED RIVER 2』京都上映 その4

6月19日『RED RED RIVER 2』上映後、15時過ぎから対談を行います。 田中希生 歴史学者 1976年京都市生まれ WEBSITE「ex-signe エクシーニュ」→ http://www.fragment-group.com/kiotanaka/ 野上亨介 映画作家 1969年京都市生まれ

マンガノート 1

■ 『カムイ伝』 第一巻 白土三平 マンガを読むこと ゆっくりと ていねいに ナメクジが毛氈をつかって床を這うように 一文字も見逃さずに 印刷上できあがったインクの染みも見逃さずに 駒の順番をけっしてまちがえることなく 吹き出しの順番を正確に追い 作者…

『RED RED RIVER 2』 京都上映 その3

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『RED RED RIVER 2』 京都上映 その2

] ■ 矢部史郎について 「しなやかな運動、それこそが、世界=愛の根底に息づくべき出来事の諸力の実現体であり、いずれ<ヴィオランス=暴力>へと集約する<諸-力>の潜勢体なのだ。」そんなことを繰り返し言っていた矢部史郎は今、どこで何をしているのだ…

『カフカノート』 ノート 4

■ 高橋悠治 『カフカノート』 4 たとえば「ヒッチコック」と発音してみると、それが二拍節だということがわかる。「トン、トン」という感じで「ヒッチ」と「コック」で分けるのが自然であり、「ヒッチコ」と「ック」で分けるのは不自然である。「ヒ」と「コ…