■34〜37



■ 34  撮影される事/アクター/アクトレス/待ち時間




<■33>で触れた「写真撮影」について、もうひとつ書き加えておこう。2週間前あたりか、「ノガミさんを撮らしてほしい」ということで銀座近くの新富町まで出かけた。前日に「ゴハンは用意してあるから、是非お腹すかして来て下さい」というメールが来たので手ぶらで行くのも悪いな、と、ハイ・プライスのスペイン産のワイン(銘柄は忘れたが「タン tang」がはいっていたような気がする)を「今すぐ全部飲んだろかいな〜」と思いつつ、小脇に抱えて某アトリエに向かったのだった。昼下がり、ほんの1時間ほど、僕は被写体となったわけだが、ひとつ、大きなことがわかった。まず、「俳優=被写体の属性とは<待ち時間>という非−現場性ぬきにしては語れない」、このことである。さらに言うなれば「俳優は待ち時間の間、なにを考え、どういう精神状態でいるのだろうか」という問いなしに映画撮影現場の案配が調整できないということだ。もとより僕は俳優ではないので、このフォトセッションに途方もない新鮮さで臨んだのだが(別にライティングしたり、レフレックス・ボードを使うような大げさな現場じゃないですよ)、予期せぬ、というか想像もつかなかった<待ち時間>というやつが発生して、その間フォトグファーが、なんやかんやをやっていて、それが視野の脇に入ったりする。この「決して明晰になれないような時空間を過ごすこと」は、僕がふだん映画を撮っている時にも必ず起こるような、<待ち時間>でもあり、それを「自明視している」というにはリダンダントに過ぎる、そんな<待ち時間>である。今回の経験を通して察するに、この<待ち時間>には、被写体や俳優はなにもしていない。ひたすらボーっしている。ボーっとしながら、かすかな何かが頭をよぎったり、腹がすこし減ったとか、喉が少し乾いたとか、昨日は意外によく眠れたが・・・たしか朝起きて、コーヒーを飲んだけど、マリームを入れたほうがベターだった、確かにそうすべきだった、うん、そうそう、とか思っているのだ。ようするに何もできないのだが、その何もできない時間、その必然的発生において、古今東西の映画が撮影され、写真が撮られているにはちがいないだろう。え?オレは一生懸命脚本読んでるって?!嘘でしょ??・・・え?写真、15頁の冊子にするって?冗談でしょ? (12月1日・・・しかし、急に寒くなった。)





■ 35 ブーレーズとケージがかかる AM radio program  954MHz



サドゥンリーな連日の雨のため、寒さのためか、ひどくサドゥンリーなコンスピテーションになった。これは生まれて初めてのことであり、7年前に左足の患部を切除していらいの苦行だったし、もう二度とこの目にはあいたくない、という地獄の悶絶状態を半日〜1、5日ばかり過ごした。いや〜すごい、もうぜんぜんウンコが出なくて、多分寒さで冷却して、アス・ホール手前で、フリーズしてしまったのだろう。ドラッグストアの薬、医者にもらった処方箋、病院でもらった薬、エネマ(カンチョー)、の中ではエネマが一番よく効いた(マジで浣腸すごい、尊敬します笑)。(しかも色はパステル・ピンク。・・・レディへの配慮か、オールド・ミスへのアリュージョナル・カラーか、この色、このデカダンス・ピンク。)。!これまた生まれて初めて使ったけど、すごい効いた。便秘は内からではなく、外からの処方の方がいいのかもしれない(ちなみに「琵琶湖浣腸」という代物が売られていて、いや、これもイカしたデザインだよな〜と思ったが、(←マジですよ!!)、さすがにクラシカルな「イチジク・タイプ」にした)。今回、学習させていただいたことは、カンチョーが一番よく効いた。ということだ。いや〜、まいったよ〜。女性の悩みがよ〜くわかりましたよ!ようするに便秘になったということですヨ!!。秘められた便の行方はどこへ?鹿のプティ・ボール・スカミングの生成はいかにして?(12月3日・・・スイスにいるジャン=リュックは81歳になった。・・・今頃、グルノーブルか、ジュネーブか、ロールだかで、『コンクリート作戦』を見ているのだろうか? ・・ああ、これから『女と男のいる舗道』の中のキャッフェの中でかかるフレンチ・シャンソンが聴きたい。聴くよ。DVD久しぶりにセットして。トラックバック・イン・キャフェテラス。ほんのり悲しい、モノクロームの画面。






■ 36 12月4日はそごう百貨店内にあるそごう美術館に行く予定だった。


デートコース・キャンセルアウト・ロイヤルストレート・フラッシュバック。12月4日はデートを予定していた。もう、これはかなりの気合い入れようで、『てくてく大人散歩 横浜 2011』をトイレの中、電車の中など問わず熱心にチェックしまくっていたが、両人、体調不良でキャンセル・アウト。(僕は完全に回復していたけど、まあまあ病み上がりっつうことでアウト。彼女は風邪)。一日中、料理本を完全無視して、会席フルコース風を料理する。オードブルは、オリーヴオイルを振りかけたキュウリ。塩とシナモンシュガーパウダーを少々振りかける。(←これ、マジで美味いっすよ。魔法のよう。)次にホンビノス貝の塩ゆでしただけのもの。ホンビノスはクラム・チャウダーのベースに使われているだけあって、味わい深い代物。形状はアサリと同じで、しかし、アサリの7倍くらいの大きさ。これを5つほど食す。(いや〜死にそうに美味い・・・のこりはカリファルニアのブラックベリー・ワインで蒸しました)。次にミネストローレ風の春雨おひたし、春雨をもどして、トマトピューレーとハム&パブリカであえたものに白ゴマ、生ブロッコリーの微塵切りを少々振りかける。アクセントに、チリソースやバジルをかけても良い。バケットに乗せて食べてもグッド。次に、モロッコタジン鍋。ミートショップで買った豚肉(スーパーの肉は不味い)に、カルダモン、クミン、塩胡椒、醤油で下味をつけておいたものをさっと鍋底で炒めてから調理。スープは醤油、ペプシコーラ、鰹出汁、シロップ、ショウガ、ニンニクを等分ベースに。最後にちぎりレタスとざくぎりピーマンをどっさり入れて火をかける。タジン鍋の蒸気の出方をよく観察しつつ、沸騰寸前で火を止める。これまた春雨で絞めても美味しい。フラッシュ・バックス、回想断層のティモシー・リアリー・インクルード・スマイリン。



■ 37

そんなわけで、今日も音楽を聴きまくっている。久しぶりのキンクスのトリビュート(なんでこれに「セルロイド・ヒーローズ」が入ってないのか?)、毎晩聴いているジョン・コルトレーン『バラッズ』、シュミット監督『ヘカテ』のサウンド・トラックコクトー・トゥインズ『MILK&KISSES』、ヴァン・ダイク・パークス『オレンジ・クレイト・アート』、ルー・リード『ベルリン』、サンタナ『キャラバン・サライ』、ジャン=リュック・ゴダール監督『ヌーヴェル・バーグ』サウンドトラック(ECMレーベルから出ている映画全編を音声録音した2枚組CD・・盲目の詩人が感動的なライナーノーツを寄せていらっしゃる)、あとはバド・<天才>・パウエルの「TEA FOR TWO ALTERNATE NO.2」。