2011-01-01から1年間の記事一覧

メモ11 記憶の裏側

■ 記憶の裏側 群衆のなかからなぜかある顔を数秒間えらびとっていて、その顔が誰かに似ていても、まったく想い出せず、しかしもう少し経つと、不思議なことに想い出している、この顔は誰かに似ている、それもベンヤミンのいう「ショック作用」に近いものとし…

『カフカノート』 ノート 3

■ 高橋悠治 『カフカノート』 3 かつてカフカを読んだこと。これから読むであろうこと。高校生の頃、日曜日に電車にのって御所に行き、読書する習慣があった、といっても一時期なので、10回ほどだったが、ある日、『流刑地にて』を読んでいた。しばらくす…

『カフカノート』 ノート 2

■ 高橋悠治 『カフカノート』2 http://www.youtube.com/watch?v=8ssyHYxD0tQ&fmt=22 いっしょに行った人は高校のとき演劇部だったそうで、「とくに思い出にのこっているのはブレヒトの演劇だ、」と晩ごはんを会場近くの店でたべていたときに言っていた。作…

『カフカノート』 ノート 1

■ 高橋悠治 『カフカノート』 1 http://www.suigyu.com/kafka3.html 咳ごむことのプロセスでまず確認されるのは、喉の内部に一点の小さなかゆみが発見されるということ。気がつけば、かゆみが大きくなり、つい咳ごんでしまう。咳ごむことは、このかゆみを追…

『RED RED RIVER 2』 京都上映 その1

音楽ノート 5

■ カントリー・ジョー・マクドナルド アイム・フィクシン・トゥ・ダイ・ラグ 明るく陽気なメロディ。その昔、ひらけポンキッキの挿入曲でビートルズの『私は64歳』(『サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』収録)が突如として流れて…

フライング・スパゲッティ ノート1

■ フライング・スパゲッティ ノート その1 ここ最近、曲をつくっていて思ったのは、中毒性がとても高いということだった。途中でやめられなくなり、外界環境を気にせずつづけてしまい、薄着のまま朝を迎え、連続くしゃみをしたあげくひどい風邪をこじらせて…

『私が見出した世界』 3

勝手に逃げろ だがどこへ 勝手に逃げろ どこへでも われらの道よ どこまでも 見ろよ、前を 光に突かれた眼球が 絶対の理性を呼び覚ますまで 盲目の半歩手前、そこで 迷子になろう いっせいに打った ビリヤードの玉が動きを止めない その恐さ 速すぎて 見えな…

『私が見出した世界』 2

見いだされた空と 見た空はちがう よく見ることと見ることはちがう それを <感覚>は隠してしまう 「ああ!なんと美しいことか!」 君がそう、胸の中をいっぱいにして 高らかな思いを天に捧げたときには、もう その美しさはどこかに去っている さあ、別の世…

メモ10

■ メモ10 ちゃんと歳をとれることはありがたいことだ、 と思っていたほうが ずいぶん気が楽なのに 少々無理しているのか 若づくりのために 美貌のために それにしても何歳なのか 彼女に聞いたことはない この表層、薄い、見たくれの世界、それをどんなに大…

写真ノート 1

■ 中平卓馬写真展 「Documentary」 銀座 BLD gallery 数年前に清澄白河で見て その直後だったか 下北沢の小さな映画館で写真家をあつかうドキュメンタリー『カメラになった男』を見た ここは擬似モダニズムに覆われた銀座 しらじらとした歩行者天国 人はいる…

メモ 9

■ ただいまはどこか ただいまと言う それを言う時は 今で 今とは ただ いまだない時間 やがてくるだろう時間から いまあらわれつつある時間への移行 その兆しがみえるあたり 今とは ただいまと言うまさにその時で 只、今、この時、を言っている この時は 映…

メモ 8

今年の正月は京都にいた 雪がつもり 甥や姪と雪だるまを作って遊んだりした 小さな子供がいつのまにか大人っぽくなっていて こちらとの微妙な距離感が生まれる 少し前までは向うから目を合わせてきた というよりもたんに近寄ってきて やたらと話かけてきた子…

IMAGON  STUDIES  vol.3

「IMAGON STUDIES vol.3」 のおしらせ 開催日 2011年2月16日(水) 時間 10時〜12時 場所 千代田図書館 第2研修室 (九段下) 聴講料 300円(会場費、資料代含む) ■講義内容■ <イマゴン・スタディーズ 第1回>では「映画と表象史の接面」…

『私が見出した世界』 1

* 以下にexpressされるimageとtextは、その初出時においてルードヴィッヒ・ヴァン・ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』における「像理論」にもとづいている。この2015年に映画化され、2016年に公開されるだろう『私が見いだした世界』の草稿は…