『私が見出した世界』 2




見いだされた空と
見た空はちがう
よく見ることと見ることはちがう
それを
<感覚>は隠してしまう



「ああ!なんと美しいことか!」
君がそう、胸の中をいっぱいにして
高らかな思いを天に捧げたときには、もう
その美しさはどこかに去っている
さあ、別の世界を
美とは永遠におさらばだ
もっとありふれた
もっと手の届く
きづかないほどに
平凡な
特別なものではないものに
見いだされた世界
どこへでも
だれとでも
ひとりでも
その先に
誰かが待っている 何かが待っている
奇妙な道がやってくる




これ、は近くに
あれ、は遠くに
それでは
それ、は、どこに
あるのだろう



観念の海原から歴史がはじまったのか
感覚の退廃から歴史がはじまったのか
概念の荒野から歴史がはじまったのか
歴史はどこから歴史なのか



機知から理性へ
理性から機知へ
往復する列車のように
反復横跳びのように
書かれた歴史
生きられなかった歴史
書かれなかった歴史
生きられた歴史
<それ>があったところに
己を至らしめよ
ちがう、そうではない
<それ>はいたるところにある
<それ>自体が私を消すという地点にまで
私を追いこんでくれるだろう
いたるところにある<それ>