音楽ノート 5



■ カントリー・ジョー・マクドナルド  アイム・フィクシン・トゥ・ダイ・ラグ 





明るく陽気なメロディ。その昔、ひらけポンキッキの挿入曲でビートルズの『私は64歳』(『サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』収録)が突如として流れていた、そんなすっ頓狂な、間の抜けた、デレっとした、気楽 nifty な感じ。だが、ジョーはウッドストックで始終、怒った面持ちでこの明るい陽気なフォークチューンを歌う。ターバンを巻いて、髭をたくわえて、ギター一本で、観客からその獣のような鋭い目をそらすことなく、よく磨かれた釘のように光らせて。英歌詞からベトナム反戦歌だということがすぐにわかるが『ロックの時代』(晶文社 片岡義男訳)所収の「カントリー・ジョーが弦をゆるめて」(アーヴィン・シルヴァーによるインタヴュー)でもこの歌のことを最後に語っていた。反戦のデモンストレーションでトラックの荷台に乗って「ダイ・ラグ」をスタジアムに向かいながら歌っていると、まるでフェリーニの映画に出ているようだったと。ダイ・ラグの「ラグ」(タイム・ラグのラグ)で示されているのは、「まあどのみちみんな死んでしまうんやから、歌って踊って死のうや!」という楽観的な姿勢の残余体であるが、この姿勢が批評となりうるということをも語っていた。でも、何に対する批評なのかというと、それは語られていない。名曲だ。