フライング・スパゲッティ ノート1




■ フライング・スパゲッティ ノート その1




ここ最近、曲をつくっていて思ったのは、中毒性がとても高いということだった。途中でやめられなくなり、外界環境を気にせずつづけてしまい、薄着のまま朝を迎え、連続くしゃみをしたあげくひどい風邪をこじらせてしまった。それほど中毒性が高く、それは作曲でかなり盛り上がれるということでもある。既存のサンプルデータ、ようはまとまったパッチ(一定の音の集まり)の組み合わせでまずリズム&ベース部分をつくった上で、いわゆるウワモノをどんどん乗せていき、必要ならばマイク機能やMIDIシーケンサーを使って必要なものをつけくわえてゆく。パッチのサンプルデータもドミナントを残して、それ以外の箇所を加工できたりするので、トラックは5つか6つあれば充分「聴ける曲」がつくれる。便利なのは曲をつくっている間ずっと、当の作りかけている曲をループできるということだ。しかし、ループ機能をずっと使っていると、今つくっている箇所が曲の中で正確にどの位置なのかが判断不能になる。聴覚も頭もルーピングによって麻痺させながらつくるしかない、という状況にいともたやすく追いこまれてしまうのだ。それでも取り入れてみるとなかなかよかったりして、偶然要素も多分にあることは否めない。いちいち考えることなく、感性だけで作っていくと、ふとよぎるひらめきに一つ一つつきあっていく回路が速度を増し、濃縮されてゆき、曲づくりが曲そものもになってゆくような全体化のプロセス/プログラムが一様に純化されてゆく。地震前あたりからカントリー・ジョー・マクドナルドを集中的に聴いて、曲づくりが止められなくなった。今つくっている映画に踊るシーンがあり、そこで使おうというねらいもある。フライング・スパゲッティ&サスペンディッド・ウィンドウの『グッド・ミュージック』。9曲入りです。