『私が見出した世界』 3

勝手に逃げろ
だがどこへ
勝手に逃げろ
どこへでも
われらの道よ
どこまでも

見ろよ、前を
光に突かれた眼球が
絶対の理性を呼び覚ますまで
盲目の半歩手前、そこで
迷子になろう
いっせいに打った
ビリヤードの玉が動きを止めない
その恐さ
速すぎて
見えなくて
止めることもできない
吐息の闇よ
誘惑の

誘惑の
砂漠で見る夢に
打ち捨てられた、あの足跡
軌跡の軌跡、あてどもなく
彷徨う果てに
酩酊船で
死にかける




接吻を ああ
黄金の接吻を われに
果実を
新しい兵器のような



見よ と言う その人は
削った指を指して
どんなにか 強い
あきらめと栄光を 待つだろう
生活を あきらめ
正し 整頓し 箱にきちんとつめた
生活を あきらめて
ネクタイの仕方も忘れて



もう 数えるべきことを
数えることも
忘れて
忘れてしまった そう それは
憶えている
ただ
記すのみ

だから
やわらかい映像に
愛撫をもとめ

定理もない
求欲の定理さえない
夢の裏側で