映像ノート 1




■ 映像ノート1




▼「おはよーござんす。」
●「おはよーござんす!」
▼「さー、何から話そうかねー。」
●「なんでもいいんじゃない?」
▼「来月に44歳になるかと思ってたら・・・」
●「?」
▼「なんと43だった。」
●「あらら、逆サバ?」
▼「そうそう、無意識のうちに一個まちがえてたな。一歳上にしてたっつうのが・・・」
●「しかしとうとう43か!しかし、あれだね、日テレがとうとうはじめたね。」
▼「え?なに?」
●「知らないの?<あなたの人生を12分の動画にまとめます>ってやつ。これこれ↓」

http://www.asahi.com/national/update/0616/TKY201206160218.html

http://lifevideo.jp


▼「へえ、なるほど、自分史の映像版ってことですか。」
●「そうね、それとビジネスを直結させようとする試み。まあお金持ってる老人層をターゲットとした新種のビジネスよね。」
▼「そうか、かつては<自分史>の出版が出版社連の食いぶちおよび延命策として有効だった時期があったけど、これから映像に移行するってことかね。」
●「テレビもさ、いろいろ大変な時期にさしかかったっていうことだ。」
▼「そうそう、NHKの不祥事(受信料設定の曖昧さ)とか昨日付けのニュースソースの話だけど、リンキンバーグっていうイギリスのバンドがMUSIC STATIONっていう音楽番組に出演して、途中でフレーズがむちゃくちゃになった状態のまま、番組が暴走してしまった、どういうことだ?何が起こったんだ?っていう騒ぎもあって、テレビ自体に対する信憑性がガタガタになっている、そういう時期に、日テレが、ある種の<テレビ業界のマイナスイメージ打開策>としてやりはじめたんだと思うよ。」


http://matome.naver.jp/odai/2134044684202242901

●「そうねえ、演奏がライヴであるにもかかわらず、途中でCDが流れ始めたっていうケース・・・別にそれはそれで実験的で面白いんじゃん!って思うけど、やっぱり、ファンとしては、どうなってんだー??ってなるのよね。」
▼「まあ、僕も映画作家の端くれとして言わせてもらうと、映像の操作可能性というのは、ほんと技術的に多様なんだけど、それゆえに最終的に<真実の映像>がいったいなんであるのか?という問いに帰着しちゃうし、そうでなければ元も子もないという気がするね。」
●「なるほど。じゃあさっき言ったライフビデオに関しても、都合のいいシーンだけで成立していて、やっぱり格好悪いとか、ダサいとか、そういうシーンってカットしちゃうわけでしょうね?人生の編集可能性、操作可能性ってむろんのこと、人生が有限であるという生物学的事実があるからなんだろうけど・・。」
▼「もともと、プライヴェートな次元においては、そういうネガティブなシーンは最初から心理的に排除しているんだよね。見せたくないものは撮らないという原則はあるだろうよ。というよりも、見たくないもは最初から見ていな
い・・・。」
●「しかし、その選別も、外からの強制的な情報操作のなかでの話でしょう?」
▼「もちろんそうなんだよ。広告氾濫がもたらすニヒリズムっていうのは、まあ仕方ないとしても、バロウズ的な意味で反情報操作の情報操作を民衆がガンガンやるべきなんだよな。」
▼「そんで、考えたんだけど、売れない役者とか、芸人とか、膨大にいるわけね、この東京に。で、このライフビデオのクライアントが例えば80歳のおじいちゃんだとすると、子供時代から現時点までを扱うわけで、それらの時代時代が写真によって表現されるというのが、まあ常套だろうし、技術的にも簡単だし、いちばん客観的、科学的な事実には近いとは思うのよ。だけど、」
●「あっ、わかった。子役とか青年期の役を誰にするかってことでしょ?」
▼「そうそう、まあ料金設定によってあれこれできるとは思うのよね。お金だせば、そこそこの子役のモデルなりを起用できたりするわけ。」
●「で?」
▼「で、ローコストでおさえようとなると、写真ですませてしまうとか、そういう経済回路がやっぱりくっついていなきゃ面白くないとは思うんだな。」
●「YOUTUBEニコニコ動画、デイリーモーションなどのストリーミング以上のクオリティっていうのがひとつの大きな売りなんだし、それそうとうのモノを作って欲しいわけよね。」
▼「映画制作におきかえていうと、戦中戦後あたりは、モッブシーン(群集シーン)で、撮影所の大部屋の売れない役者が一気にどーっと出演できて、日銭を稼げるっていう、そういう救済回路があったわけね。で、笠智宗から役所広司まで、大部屋あがりのヒットメーカーという系譜もあるにはあるとは思うんだが、ライフビデオがまず一元化して考えてるのは、テレビ業界とどうリンクさせてビジネスライクにできるかってとこなんだとは思うのよ。演劇業界、音楽業界あたりは巻き込もうとしているんじゃないかね。」
●「ようするにあなたの人生を12分に、っていったときに、それはキャッチコピーとしてはなんとなく新鮮に聞こえるけど、結局、テレビ局側の収益に回収されてしまう悲しさが・・・」
▼「そうそう、ライフビデオおかかえの役者がでてきて、やっぱり彼に頼もうとか彼女に頼もうとかなって結局スターシステムの悪しき反復になる可能性もあるんじゃないか、と。」
●「ひとつ、いえるのは、売れない役者を救済する回路として、日テレが他業界救い上げのシステムを構築できて、共存共栄に拍車をかけていくかってことが、このライフビデオに賭けられているとは思うね。」
▼「とはいえ、視聴率調査しているビデオリサーチっていう会社もじつのところ、電通の内部組織で、いくらでもでっち上げできるわけでしょう?。ライフビデオがテレビ放映までの権利を含めた話になると、これまた視聴率操作とか、利権とか、まあ、話がややこしくなって・・・」
●「そうそう、電通はいまやYOUTUBEのカウント操作までしているって聞くもんね。まあ。メジャーシーンの操作だろうけど。あと、こういう会社↓にお金つぎ込んで、2ちゃんの書き込みとかを操作してもらってるんだって。」

http://www.e-guardian.co.jp/service/cat77/post.php


●「例えば、2ちゃんねる電通のスポンサーになっている会社にとって都合の悪い書き込みを発見すれば、バーンと途中でアスキーアートを挿入したり、肯定意見と否定意見をむら無く書き込んだりして、主要議論点をわざと分散させるっていうことをやっているらしい。・・・で、これも昨日付けのニュースソースの話だけど、そもそも、なんで、あれだけ人気のある(として、みなされている)KARAのコンサートが急遽ドタキャンになって、企画会社がチケット代金返済不可能で会社倒産までのことになるのかって、これフツーにおかしでしょ?カラのカラ騒ぎっていう。」
▼「テレビに対する不信感なんて、今にはじまったことじゃないけどね。19世紀は新聞、20世紀初頭はラジオ、戦後はテレビっていう変遷があって、そのすべてを統括するように現在はネットというメディアが支配的になってんだけど、良質な情報を的確な判断力で入手できるのは、やっぱネットだと思うよ。ただ、
深入りするのはよくない。」
●「ライフビデオがどうなるのかはさておき、テレビ局の終焉にはますます向かってきているという気がするな。」
▼「そうね、なんだか日本映画に電通臭が過度に、においだしてきてからあまり見なくなったね。90年代までは大丈夫だったんだけどな・・・そうそう、ミヤザキアニメ。・・・しかし、オレはどれだけ、ミヤザキアニメファンを批判してきたことか!!見てもいないのに!!(笑)」
●「まじすか?」
▼「そう、それでずいぶん嫌われてたこともあったな。(爆笑)」
●「まあ、ともかく、ライフビデオなる商売がどれだけ、伸びるのか?ってことよね。」
▼「そうそう、あと、これもこの2012年6月、東電再稼動問題期、原子力反対デモ期の裏側ですすんでいることなんだけど・・・」
●「え?なになに?」
▼「いやね、国会および国会図書館がとうとうテレビ局の番組データをアーカイヴ化するっていう話で。テレビ側ともめてんだよね、今。知らない?」
●「知らないな。」
▼「これこれ。例えば。」↓

http://2chspa.com/thread/newsplus/1339250058


▼「うわっ、すごい書き込み増えてるな。最初見たとき、15件くらいだったのに。・・・でも、さっきいったように、有人監視会社が情報操作している可能性もあるので、ぜんぶ鵜呑みにしちゃあいかんよ!」
●「なるほど、これが実現したら、館内のみでの番組閲覧ができるってことね。」
▼「そうなんだけど、まあNHKなんかはすでにアーカイヴを作っているわけね。だけど、内部でやっているから、公正ではないということでしょう。」


http://www.nhk.or.jp/archives/library/


●「テレビの客観的な報道っていっても、もう誰も信じてないんだから、さっさと国会図書館に預ければいいんだと思うんだけどな。」
▼「そうそう、冒頭で触れたリンキンバーグの音声入れ替え事件とか、それ以前に韓流花王事件から、それ以前にはレタスの催眠効果をめぐる偽報道とか、まあ、あげていけばテレビ絡みの事件はキリがないわけよね。」
●「でも、この動きに反対している団体ってどんなのかしら?」
▼「ここなんだけど、一応国会への意見書は公開しているね。」

日本映像ソフト協会
http://www.jva-net.or.jp/

↓国会への意見書
http://www.jva-net.or.jp/news/news_120607/opinion.pdf

●「いやあ、なるほど、協会側のいいぶんとしては、人格権の侵犯や言論の萎縮効果っていうレベルで捉えるわけね。まあしかし、おおむねDVD化の版権侵害なんだろうよ。」
▼「おっとっと、さっきネット上で発見したけど、昨日24日のニュースソースでやはり<放送局側が反発>ってことだよ。日本映像ソフト協会と民放連、ようは複製権利や、その管理権を握っている組織とオリジナル資料をもっている組織がとりあえず意見一致した、ということだね。」



http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/120624/ent12062423360014-n1.htm


●「そうね、まあ時間をかけて議論したほうがいいんじゃね?東京造形大学長の諏訪さんの意見を聞きたいところだわ。しかしイギリスのBBCやドイツのZDFはとっくに放送番組のアーカイヴ化はやってんでしょ?」
▼「どうだろね。これも今、発見したけど、しかし、流れ的には、10日前、6月15日に、まず電子書籍の納入義務付けが国会図書館法改正で成立したということだ。次に放送番組っていう法改正の流れだな。」


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120615/plc12061521180020-n1.htm

●「ま、なんというか、ここ最近は、髭の殿下の逝去とオウム逮捕の一件と、原発再稼動問題とAKB総選挙と、なんやかんやバタバタしているなかで・・・」
▼「そうそう、YOUTUBEで流れている電通バクロおよびNHKバクロ系動画がねえ、すっごく面白くて。」
●「そうか。しかし、おおざっぱにまとめると、3・11移行は崩壊トーンで、同時にそれは構造の露呈化だったんだと思うんだよね。最近は東京メトロの駅の地下構造図とかさ、やっとこさポスター公示しはじめたのよ。で、・・そういうことも含めて日本で、やっと構造主義がはじまったかな、という気がしないでもないな。」
▼「そうそう、崩壊のあとには構築するしかない。で、構築するには構造が必要なんだね。・・・あと、戦後の視聴覚教育と公共図書館とGHQとのかかわりとかさ、今の番組アーカイヴ化と根深いところでかかわってんだとは思うんだよな。そのへんを専門の学者連中がしっかりやらないとダメっていう気がするなあ。・・・期待はまったくしてないんだけど。」(2012−06−25)