ランダムノーツ 1



■ランダムノーツ 1





・『RRR2』終了後、さっそく新作の短編の構想が頭をよぎっている。構想は何も今に始まったことじゃなくて、『RRR2』編集中、および編集以前からさまざまなシークエンスを「具体的な絵コンテとして」ノートに書き写したり、コメンタリーを綴っていたりした。一種の病気だと思うが複数作品の同時的構想からは逃れられないし、それは能動的に取り組めばそれだけ散逸的になるのはわかっているのだが、根が分裂症的(だと思われる)なので、仕方がない。そんなわけで、3ヶ月前くらいに集中して描いた「コンテノート」を山づみになった本の間からギュッと引っ張り出して、近所の成城4丁目の川べりで涼をとりながらずっと見直していた。裸のおっさんのジョギング、野鴨の鳴き声。川とは古井由吉長野まゆみの小説のタイトルにもなっている「野川」である。このやる気のないネーミング、とても良い。





・『RRR2』は「スキゾフレニック」というレベルで取り組むのではなく、「大大文字の分裂=ザ・スキゾ」くらいのモンタージュの迫真性で取り組もうと思っていたが、さきほど、見直して、まだまだ迫真性が足りないと思った。おそらく編集作業上で、メカスを意識しだしたとたん、「いや、そうじゃない、ここはメカスに陥ってはならない、つまり網膜的に純化するのではなく・・・」という呟きを繰り返していたからだろう。映像の物質的な切断面の強調はやはりゴダールに負うているところが多いし、それはそれでうまくいったし、おおざっぱにざっくりと、緩急をつけた諸展開の構築もうまくいった。だが、「大文字のスキゾ」というレベルにまで至っていない。たぶん音響をつけなさすぎたからかもしれない。映画音楽にありがちな流麗な音、という音がひとつもない。固く、鋭利で、ちょっと愛嬌のある音の数々リズム。まあそれはそれでいいのだが。






・おそらく「無関係性シリーズの映画」になるだろうが、新作短編のために8月22日に川に飛び込む予定である。その際、どうして川に飛び込むのかという因果関係だけは作る。(無関係性を強調したいのだが、ここでの因果関係だけはつくる)。以前からやりたいと願っていた『万葉集』を朗読してくれるヴェンダー(自動販売機)を創造しなければならないのだ(川べりに朗読自販機がある・・まあ徹底してポーヴェラ/チープな感じになりそうだけど)。深夜になって、再び、成城4丁目に行って、いろいろ頭を転がしながらLEDの灯下でメモをとったり、自販機をイラストレートしていた。歩行者は誰もいない。






・お盆に京都に帰省する予定だけど、京都での撮影も行うことになっている。(これはまた別の映画で、しかし8年前くらいから暖めている企画だ)。おそらく、北区にある「大宮交通公園」に行くだろう。小学生低学年の頃、ここのゴーカートに乗って、よく遊んでいた。(たしか50円で乗れた。)あとは加茂川(鴨川ではない)の御薗橋の上流で毎年、「金魚すくい大会」があって、これにも毎年参加していたような気がする。御薗橋の上流側にはいろいろ思い出がありそうだ。みんな忘れているけど、行けば思い出すかもしれない。撮影に連れていきたい人がいるのだが、まだ連絡をとっていない。(2010-7-21)