ランダムノーツ 2


■ランダムノーツ 2




・石ころは石ころの記憶を持っているのか。石ころを知覚する者だけが石ころの所有している記憶を、想像的に得ることができるのか。自らの想像をその石ころに投影し、石ころには<たしかに>記憶があったと言える時点にまで、石ころを固有化するのだろうか。それが<見る>ということの真意だろうか。『物質と記憶』のベルクソンが『創造的進化』において映画を扱ったのは、どうしてだろうか。ところで「あの石ころ」は「この石ころ」と違うのか?



・石ころの物資的な様態。しかし、「あの石ころ」ではなく、何故「この石ころ」でなくてはならなかったのか。この形、色、手触り、におい、光に照らされる表面の鈍い輝き。それらはなぜ、「この石ころ」のものでなくてはならなかったのか。「石ころ一般なるものはない」「億の石ころに億の固有性がある」「あらゆる物質は形態を準備する」。



・自然は物質に対して即時的な存在である。風の影響を受け、向きを変える木の葉や、雨水の影響を受け、徐にしなだれてゆく花々。影響は即時的であるということは即自的でもある。



・仮のタイトルを先につけて、制作を進めた方がよいのだが、それが思いつかない場合、どうすればよいのか?ということを考える。作品Aとか作品Bとかにすればよいのかもしれないが、これでは、クラシックの曲みたいで、その時点でクラシックという一定の意味付けがなされやすくなってしまう。



・早朝4時30分頃、再び成城4丁目へ。歩行者、ジョギングしている人の年齢層が日中にかけてのそれよりもやけに高い。建物のガラス窓に朝の太陽が反射している。窓のフレームによって垂直に分断された、やわらかくはないが容易に直視できるほどのピンクがかったオレンジ。ハー・・・スー・・・ハー・・・呼吸をととのえて、記憶を逆回転させる。気がつくとガラス窓に、<あの>太陽は映っていない。朝になった。(2010-07-23)