夏帰詩 2020 ■1




 




8月9日

9:00

 

また手元にスマートフォンがある。見慣れた風景以前のそれ。…しかし残念ながらこれは永遠に続くのだ。人類が滅亡する時、スマートフォンを手に握りながら死んだ者は60パーセントを超えたという。ペニスを握りながら死んだ男性は20パーセント以下だった…。

 

たしかに長文を書くのが億劫、苦手になった人はいるだろう。文を書こうとする。まず、これがいけない。次に「まともに読んでもらえるもの」を書こうとする。これもいけない。しかし、そう、それでも、また、言葉が言葉でありたいと欲している。それは葉が葉でありたいと欲し、ついに木になることを自ずと実現してしまうことと同じだ。このメカニズムが長文の暗喩となっている。///いや、長文は書かなくていい。詩を書くのだ。いや、これもちがうかもしれない。///そんなわけで今回もお盆帰省する。祖父の名のもとに。祖母の菜の花の種に。///バゲッジ、バゲッジ、ティケット、ナゲットと拍節脚韻で発音する。荷物は軽めにした。ipadはやめておいた。長袖のシャツも。いつかの帰省時に京都で購入したコム・デ・ギャルソンのKYOTOという香水(マスクの表面につけるとけっこうゲロはきそうになる癖のあるムスクィーな香り)、7割くらい残っているそれがどこか重さをフロウしている。montーbellの一目惚れバッグ、PayPay購入でセブン〈 ファック〉イレブンでもらったマイバッグandユアバッグ。CHUMS チャムスという茶碗蒸しに近いネームが入っている。蒸す?

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9:18

さて行先は京都であるが、12日の18:00に街中に出ていれば良い。それまでは何をしてもよいのだ。とりあえず新宿駅から湘南新宿線に乗り込む。「湘南」という語にはまだ魅力が残っている。湘北、湘東、湘西にはなんの魅力もない。というか、そんなところはない。「湘南に行くのですか?」「しょうなんです。」というダジャレも成立する。しかし、どこで降りようか?? 腹が減った。


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新宿ガラガラ

 

9:53

オレはイヤフォンで音楽を聴いていた。月1000円近くペイしているサブスクで。オレは音楽が好きだ。オレ、とか、ワタシではなくオンガクを主語にして書きたいところだ。「オンガクはオンガクを聴いた。」「しかしながらオンガクは便秘気味です。」///オレはオンガクだ。ドやファやフェルマータト音記号などが構成要素となっている。あとハイハットシンバルのオープンでスティックし、即座にクローズ。これも好きなので取り入れたいところだ。繰り返すあの響き、シュバッチャ、シュバ、チチ、。///横浜を通り過ぎた。
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10:55

音楽聴いてるとアナウンスが聴こえない。それが良い。/// 電車移動にそうそう飽きて、いきなり下車。大船だった。海が近いのはわかっていたが、鎌倉の由比ヶ浜までランドナーでキャンプ旅行したことがある(なんとその時クロスター&ドラゴンのテントを張ったのだ!)ので、駅前、オッ!ここ通ったことあるかも、となる。// いや、いいですね。大船といえば松竹大船であり、松竹大船調だ。オレは日活よりも東宝よりも新東宝よりも東映よりも松竹の映画を多く見ている(見てきた)ような気がする。一言で云えば「人情」なのだが、海沿いの厚化粧の年増の女というのは定番で、それは「人情」を示しているし、彼女らがヒールをコンコン鳴らして歩く音さえ、それに反応する犬の鳴き声さえも大船調なのだ。とは言い過ぎだが、街並みは安易なアーバニズムに侵食されてないところが良い。(世田谷にはもうこんなところないよ!)…でも、おかしのまちおか大船店では「お菓子総選挙」が行われていた。清き一票を!

 


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海沿いーモーターバイクーリーゼントというのは密接な関係がある。リーゼントとは風の「カタ」ないし、形押しなのだ。

 


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風任せで歩く。ヒューヒュー、おああああ、飛ばされるぅ〜〜。で、商店街で洗えるマスク2枚買っておく。マスクは「完全に下着」なのである。という徹底した認識においてより凝ったものを撰ぶ。

 

14:04

ここは茅ヶ崎。もう次の行き先へと電車に飛び乗ろうとしている。行き先がないのに。2時間前。大船に松竹の残響があるのはいいことだ、と思いつつマジでフラフラ。松竹ダンスプラザなるものがあり、その看板に吸い寄せられたが、腹が減っていたことを思い出し、入店。生ビール&定食のセット。グイ、グビ、プハアア、はいつものこと。ジョッキがデカい。。そしてトンカツではなくカツレツ。トンとレツの差異を衣の味に感じる。衣が重要なのは着物が重要なのと同じことだ。それでいい。
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この近く鎌倉芸術館鎌倉女子大学がとなりあって、あった。
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去年の帰省時は小田原に寄り海を見たが、今回は茅ヶ崎で。茅ヶ崎といえばサザンオールスタンプじゃなくスターズだが、駅降りるなり「雄三通り」が出現。ここは加山雄三に縁ある地だったのだ。半裸の地元の青少年たちがサーフボードを自転車脇にマウントして移動している。こんなところに365日住めばきっと何かが変わるだろう。たぶん、若返ると思う。

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16:50

小田原で下車して、とりあえず去年来たネカフェで休憩。いちばん広いルーム取って1時間ほど仮眠して起きた。9時に夜パックの切り替えでちゃんと寝て新幹線の始発に乗る予定。部屋はけっこう空いてる。ここ一泊4000円くらいか。シャワー浴びて、晩メシ行く。

 

19:18

熱海だと観光地的ゴチャ感があるし、大磯、根府川だと駅前になんにもない。小田原はなんかちょうどいい感じだ。で、おしゃれ横丁の去年来た麺処に。コロナ閉店も多いだろうに、店やってるのはありがたいことです。店前のオープンエアーテラスのテーブルが大きくなっている。というかこの店のやる気無い感というかテキトー感が好きだ。開けっ放しの店からは懐かしい感じのダブステップのレゲエが流れている。
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タバコ吸えるのめちゃありがたい。。

 

 

20:05

麺処でぼんやり考えているが、「どうして?なんで?」という問いとともに5,6ショット撮るだろう。京都の一画で。そのショットを活かして10分くらいの短編を撮りたいが、ヴェーベルンと関係あるかどうか、わからない。

 

20:27

/// そういや、去年の今頃は京阪宇治線桃山南口駅から近い京都アニメーションで放火殺人事件があった。(暇あれば撮りに行きます)。犯人は今どこにいるのか?東京拘置所

 


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小田原駅前のおしゃれ横丁