新・映画ノート9

ジガ・ヴェルトフ集団

ブリティッシュ・サウンズ  1969

@ユーロスペース

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◼️以前YouTubeに小分けにアップロードしてあったものを本ブログのエントリーにリンクを貼っておいたがいつのまにか削除されていて、そののちヴェルトフ集団の日本版DVD が出るまで未見。今回(いちおうの)大画面で観るのは初めてであった。

◼️前回見たPravdaよりも構成がすっきりしていた。簡潔に言うと「1●労働(フォードの工場)2●女(全裸で部屋をうろうろ)3●労働(前歯の抜けたちょっとヤバそうな青年のモノローグ)4●学生(ビートルズの替え歌でプロバガンダ・ソングを作っている)

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◼️3と4のシーンの間に実際の諸ジャンルの労働シーン(おもに道路舗装がメインか)の断片が挿入され、流れを寸断しながら映画を多面的にしていく。

◼️●4のあとにユニオン・ジャック(英国旗)の中心を拳が突き破る有名なシーンが連続して続く。

◼️最後は字幕 【no end to class struggle  階級闘争に終わりはない 】というメッセージで締めくくられる。

◼️自分の時代はジガ・ヴェルトフ時代のゴダールってほんとに観れなかったので今の20代とかその意味でほんと羨ましいというか[ゴダール映画環境]いいなあと思う。

◼️この映画でもっとも言及しなければならないのは声の構成かもしれない、と思われるほどに声のトーン、バランスが素晴らしかった(これもDVD でダラダラ見ていても感じ取れなかった)。子供にやたら専門語を交えたイデオロギー的なテクストを読ます、というか成人の声を模倣させて読ますのだが、これがまず唯物論的な達成であり、声のキメ(ロラン・バルト)の多層性、その美学的達成だったように思う。

◼️学生たちが、本気で社会革命を起こそうと思っていても、なぜか遊び半分となるしかないのか、ビートルズの曲を使って替え歌のプロパガンダソングを複数人で作っているシーンが微笑ましかった。実際1969年は、革命の季節からはややズレていて、1968年の五月革命の挫折後の話なのでちょっと間のの抜けた、ユーモラスな感じになっているのだろうか。

◼️時期的にビートルズの解散直後だと思うがYou say yes  , I say no.(ハロー・グッドバイ)をUSA, I say MAO.と変えて歌い、五月革命挫折後の状況でも毛沢東の影響が残っていることを如実に知らしめている。

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◼️うーんしばらくは週に一回は大画面で観続けたい映画だ。

◼️あと冒頭の自動車工場の横移動の長回しは必見(ゴダールの横移動はホント素晴らしい‼︎)。工場の内空間の巨大さ、そこでの作業音のキレキレな交錯的響き方、が見事に直喩的にex-press(外へ− 印刷/表現)されています。

Writing@つつじヶ丘  今日は寒い!

22世紀にはもう映画館は消滅しているかもしれないし、調布市長選挙(先週)には行っていない!

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