マーチ




新作短編構想の(頭の中の)ドタバタがひと段落した。明日から再び長編に集中する。で、何をいまさらの話かもしれないが、ここ4ヶ月くらいもっともよく聴いているのはくるりの「マーチ」だろう。(ジム・オルークプロデュースの2nd『図鑑』(2000)の2曲目)。この曲はくるりの楽曲の中で最も素晴らしい。素晴らしい!と簡単に言ってしまえるのが言葉の凄さであり、安さでもあるが、「マーチ」はCompact Diskで聞いてもipodで聴いてもMini Diskで聴いてもハナ唄を唄っていても、素晴らしいと感じることができる楽曲だ。そして、これだけ何回聴いても飽きない曲はまたとない。流星があちこちに現れてギュンギュン飛び交い、即座に消えるようなバックの音。全編サビだけで構成されているようなポップにして複雑怪奇なメロディー。「コ」音(「コ」んな気分は/「コ」ートを脱ぎなよ/夜の「コ」ー園は/「コ」の街の小さな)という頭韻律で構成する詩作センス。「マーチ」とは、サメがギュインと水中でターンする瞬間の強度であり、突然流星が現れ、そして消滅する瞬間に目を丸くする驚きであり、その周囲にある他の草花を衰滅させる天空に向かって屹立する竹の怖さであり、混乱がますますその混乱ぶりをエスカレートさせてゆくスラップスティック・コメディである。なお、レコーディング時にたまたま入ってしまったのだろうけど、2分19秒目にうっすらと亡霊のような声を聞き取ってしまうのは、ぼくだけではないだろう。何回聴いてもなんか聞こえる。でも、一番すきなのはここ。「消ーえることはなくーなるって事かいっ♪?」この「かいっ?」っていうのがいい。