「砂漠の小舟」上映+上映記念ライブ 2023年5月4days 覚書(その1)

 

 

 

 

現在6月3日の深夜。つい一週間前あたりのことだが、大阪と京都に行った。「砂漠の小舟」の上映とそれに伴った記念ライブイベント、トークである。関西初日5月25日は大阪のギャラリーノマル。深江橋という全く聞きなれない土地である。何区かもわからない。近くに何があるのかも認識できていない。メトロ谷町線の深江橋駅で下車し、Googleマップを頼りに車道なりを歩いてゆく。すでに大阪気分だ。色濃ゆく、柔らかい。えげつなくも繊細。哀切にして陽気。大阪気質、そんなところか。/// 大きめのうどん屋を左折して真っ直ぐいけば会場だ。大きな中学校が通りむかいにあり、中学生の運動部の女子が特訓的に学校周りをはあはあ息を切らして走っていた。大阪の気合い(大阪がこれからも大阪でありつづけるであろう確信的な意気込み)を感じる。また駅から会場に向かう道なりにもいくつか公園があったが、子供たちの遊ぶ様子がやけに元気に感じられた。声が大きいのか。/// 早めに着いた。駅から徒歩10分以内。洒落た白いファサードに真っ赤な車が映える。わきに白い布製の垂直のポップアップ。昼間はギャラリー機能で数々の作家さんによるマグカップ作品の展示らしい。イカれた抽象画だったら覗いていたかもしれないが、鑑賞という気分にもなれないので、入りの時間まで少し腹に詰めて、そこらをぶらぶらすることに。前髪が邪魔なので上にセットしようと思い、ジェルをドラッグストアに買いにゆく。そして先ほどのうどん屋へ。うどんは腹持ちが悪いので多めに食べておく。時間が近づいてきたので会場へ。何か気の利いた土産でもとちらほらと店を物色していたが、時間なく、セブンで多めのビールと小袋のスイーツを買ってゆく。/// 会場につき、玄関口のsara(.es)さんと録音技師のウツノミアさんと助手の方に挨拶。挨拶もほどほどに 会場内を確認する。演奏者の香村さん、川口君もやや遅れて到着。各々のセッティングが始まる。ノーエフェクターテレキャスターのやんわりしたストローク、コリアントラディショナル、両面太鼓チャンゴの乾いた音が空間のすみずみまで響く。天井が高い。面積もひろい。巨大な白い倉庫のような印象を受ける。映写位置の説明をもらい、壁に架かっているマグカップ展用の展示キャンバスはそのままにしておいて下から上に斜めで投射することになる。/// ホワイトキューブの長辺の方の壁で、スピーカーの配置もそれに合わせて横幅にセット。かなりスピーカー左右の幅が広い。15mほど?ライブステージのセッティング上、アップライトのピアノがくるので横の方がベターなのかもしれない。縦ステージだとかなり手狭になる。/// 当日予約で来場してくださった詩人の今野和代さんと少しお話。詩人と会えるのは嬉しい、詩人と会えること自体がすでに詩的な事件だからだ、そんなことを思う。開場時間になり、来客の対応をする。大学時のサークルのメンバー。15年ぶりか。独立したので時間が取れるようになった、と。いいことだ。名刺をもらう。その他、ほとんど未知の方だ。嬉しい。会場にはウツノミア氏が仕込んだ特殊な録音装置が設置されてあり、その形状が奇異なため、会場雰囲気もやや尖った感じになる。いい感じで席が埋まっている。時間がきたので開始挨拶をする。/// まずはライブだ。sara(.es)、香村かをり、川口雅巳。野上はVカメラをハンディで回す。久々のシューティング。といっても11日の阿佐ヶ谷yellow visionでの色硝子も撮影した。関西の三日間のステージもすべて撮影する予定なのでずっと体力と体調を調整。撮影はほとんど体力勝負のアスリート、と言ってもいい。カメラマイクは20年前くらいのソニーの愛機を使用。1080pで撮影した。途中、唐突に川口の犬の遠吠えのような声が断続的に入ったり、sara(.es)がピアノ弦を直接弾く音にくわえ、椅子代わりに座るカホンを両サイドから烈しく叩く、拍するといった、即興ならではの演奏が展開された。/// ライブが終わり、上映準備をする。あわただしい中、挨拶し、会場暗転。映写を始める。映画は即興ではない、これは複製芸術なのだ。何回見ても同じなのだ、しかし毎回ちがう印象を持つ、そこが素晴らしい、と自分に言う。/// 画面に迫力がある。映写面に壁を使っているため、スクリーンサイズの規制がない。だが持参のプロジェクターは150インチまでという仕様になっている。おそらく160〜170インチはあったのでは、とにかく大きい。が、画素のあらさはそんなに気にならない。95分、上映が終わりホッとする。/// つぎはトークのための準備。5分ないし10分休憩挟みますとアナウンスを入れたもののギャラリーディレクターであり、トークの出演者でもある林さんが「スイッチ入った、休憩挟まずにやろう」と登壇。sara(.es)さんも隣に登壇。トークが始まる。林さんはオレンジのジャケット、sara(.es)さんは真っ赤なワンピース、派手だ、だが視覚的に引き締まる。映画の冒頭とラストを飾る橋本孝之にとっての音楽-アートの制作上、創造活動上、もっとも親密なお二人によるトークの予定だったが、林さんのお話が止まらない。…最初の邂逅はフラメンコ教室のライブパーティーでの偶然の三人の出会いで、意気投合したようだ。それでスペインのドメインである(.es)(ドットエス)がユニット名になった。橋本孝之の練習〜創造〜制作の過程をギャラリーノマルでつぶさに見守っていたのは林さんの方なのだろうか、そういう話の具体性に歴史のリアルを感じた。創造者同志、二人、三人であーでもないこーでもないと意見交換しながら〈そこに〉「来るべき形」を与えてゆく。最も幸福な時間だと思う。トークは20分ほどで終了したが、長くもなく、短くもなく、ちょうど良かった。…林さんの開口一番…「タカポンの映像見て、やっぱり彼、東京出て戦ってたんやなあ、と思いました。」。

 

 

 

 

 

 

ライブ、上映、トークが滞りなく終了。イベントも終了。閉廊時間もあり、機材撤収しながら来客の皆さんとお話ししたりで、てんやわんやだったが、なんとか缶プシュ!してみんなで軽く乾杯。林さん、saraさんを囲んで写真を撮ったことは覚えているが、しかし、何を話したかまったく思い出せない。

 

 

 

 

最後に、sara(.es)さんとはメール上で多くのやりとりをしたけど、この日5月25日初対面、ギャラリーノマルに行くのも初めてで、結構怖い人かとビビっていたが(笑)とってもチャーミングでステキな人でした。

 

 

 

 

…今回上映した拙作「砂漠の小舟」の第一の引力は橋本孝之さんの映像にあります。彼の実践的な拠点であったギャラリーノマルのディレクター林さん、そして最後まで心の拠点でありつづけたであろうsara(.es)さんに心より感謝します。ありがとう。

 

 


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