新・映画ノート 24

スワノセ 第四世界  監督/上野圭一

 

4月22日、長野県の富士見駅前のコミュニティセンターのAVルームで『スワノセ 第四世界』。「部族降臨」という日本のヒッピームーブメントを扱ったパネル展示に伴っての映画上映である。

 

事前に書籍に目を通していたので、映画の背景はすんなり入ってきた。時折ナレーションが挟まれるが、75パーセントは不要な音の入っていない映像である。

 

もちろん資料的な価値があり、それはそれでたいへん重要なことだ。

 

映画としてどうのこうのは言えるが、テーマ的な興味深さの方が優っている。

エンドロールの協力者一覧の中に谷川俊太郎の名前があった。

(映画内に登場する詩人ナナオサカキは海外の方で知られている。)

 

終映後に何故か某新聞社(諏訪支局長)の人に声をかけられて、取材というか、感想を聞きたいとのことで対応。

だいたいつぎのようなことを述べた。

 

たいへん興味深く見た。

都市部に長く住む者はどこかでこういった原始的な営みを欲しているような気がする。

文明が発達するという逆説として脱-文明化が必ずある。だが脱-文明化も多くの場合、資本主義が既に巧妙に取り込んでいる。

(単純にキャンプ用品は資本主義的な商品である)。

入り組んだかたちでの「脱」。

庭仕事をしたり、ベランダでプチトマトを植えたりして、自然との連続性を確保/確認している。

もっと身近なところでは観葉植物とか。それ自体はとても良いが、一方で大規模な樹木の伐採も行われている。

焚き火(や火種)は完全に管理されていて、年々強固になってきている。

 

 

60年代末からのヒッピームーヴメントは高度経済成長への批判的な態度も含んでいた。

まずはウッドストックなどの野外コンサートの映像によって多く知られた。

(このあたりからメジャーとインディペンデントの二重意識が生まれたのだと思う。)

そしてDIY精神。レジャーではなく思想的な行為としてのキャンプ、の始まり。

 

国内的には2011年の大震災を経て、「防災への意志」と表裏の関係にある「生への意志」(サバイバルへの意志)がある程度共有されているように思える。現在はその延長線上にある。

 

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