Randonneur from channel zero ♯6





指のサイズ、とくに指の腹のサイズとキーボードのそれがあっていないとタイピングがうまくいかない。別のノートブックで慣れたタイピングは個々のキー間の幅を指自体が覚えている。水平、垂直、斜めとどれもこれもなめらかに動いていた指はあたらしい軽量のBluetooth対応のキーボードにうつしかえたとたんまごつきはじめる。こういったことは慣れるのに多少の時間を要する。テクノロジーはそれに見合った身体を要求し身体がそれに適応できない、適応しえない場合、身体性は余計に強調される。身体は愚鈍なのだ、と機械は教える。ウェアラブルという観念、考え方とはべつに、物体の軽量化はある考え方のもとで(ポータビリティ)で推進される。それでもなおうっとうしい身体は永久につきまとう。構造主義者(とくにアルチュセール)ポスト構造主義者(とくにドゥルーズ)はそういったうっとうしい身体にとくに敏感だったように思う。軽さが要求される。ゆえに重さは強調される。