DJノート2

2022/6/24

Fourth Floor  DJ BAR

 

音楽聴取がサブスクリプションメインになってくると、いやでも人はDJ的になる。なぜならほとんどの音楽サブスクには「プレイリスト機能」がついているからである。するとどうなるか?CDラックに収めてあるディスクを手に取って、プレイヤーにセットし再生する、といった手続きがなくなり、手元のスマートフォンでCDラックに該当するプレイリストを作成し再生するのだ。「お気に入りの…」という自我心理を強制するプレイリストであるが、「お気に入り」は月額いくらか払いさえすればCDラックに収めるべき何曲ものデータを手に入れることができる。次に「お気に入りの増殖」が待っている。しかしそれは逆説的に「お気に入りの希薄化」をもたらし、「私のお気に入り」という次元を担保する。ようは「私のお気に入りっていったいどの曲なのかしら❓」という次元をもたらすのだ。

 

それはそれでノープロブレムなんだが、こういうルーティンの中でDJをする。今回もファンク、フューチャーファンク、現代音楽の縛りを一応設けた。フューチャーファンクを経由してファンクを聴き直すと、全てのファンクが良く聞こえる、という仮説とともにある種の分類化ができると思うのだが、BPM110~120前後のドライブミュージック(シティポップとは微妙にちがう)がやはり身体反応(ダンス)に適しているのでそのあたりを選曲。音質のイマイチさ、ジャケ(サムネ画像)の手抜き、粗悪品の大量生産(ジャンク)の中で宝石を探す楽しみがあり、その上作者の国籍不明性(もちろん調べれば分かる人もいる)、匿名性の守備、大家の不在、サンプリングネタの使い回しの過剰など、取り上げるとカッコいい ultra modernistic  な要素が多く、そして「決定的に流行らない」こと、これがフューチャーファンクの良心としてある。ディスコ、ハウス、ダブ、ヒップホップ、ドラムンベース、シカゴフットワーク、と、いちおう歴史的な流れのなかでフューチャーファンクを位置付けてみると、ディスコへの現代的な回帰(とりあえず東アジア発の、と定義しておいてもいいだろう)と言えるかもしれない。とくにギターのカッティングのリフレイン(ナイル•ロジャース的な)ではなく単音のチャラチャラ(チラチラ)音が入っていて、低音チョッパーベースがブリブリ鳴っていて、バスドラのキックが強く、ゴージャスなブラスがパパーッと入ってて、トータルにフックが効きまくっているのが好きだな。ここにDTM/DAW(デスクトップミュージック/デジタルオーディオワークステーション)のデジタルエフェクトが加わり、より現代的な(あるいはフューチャリスティックな)仕上がりとなる。

 

多くのフューチャーファンクは成人者のファンタジーに基礎づけられている。これは確実であろう。理想的な架空の少女(あるいはオトナの女)へのファンタジー。多くのサムネ画像でJーAMINEのフッテージが使用されているが、しかしアニメモードから脱却して、ハンス•ベルメール的な、沼正三的な方向へと拡散させる方が、より変態的で確実に「未来的」であるように思うが。

 

 

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会場の模様。まあいつもと変わらんのですが。

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高円寺駅北西うらぶれ地帯、狭い路地に突如プロヴァンス風のバー出現。店員さんはサックスプレイヤーだが、なぜかSPKとリタ・ミツコの話に…。

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外でツレとメシ食ってて、なんか中学生がずっとこっち見てる…と思ったらロキ君だった。一瞬合流。夏ロキと冬ロキは確実にちがう。