すっきりした。患部を切除したからだ。弁慶の泣きどころの傍、熟しきったプラムのように腫れ上がっていた患部にやたらに陽気で吐気のある老外科医は麻酔を打つ事もせず、いきなりメスを入れた。流血は成功した。老外科医は豪快に笑う。「ここまで放っとくとはなんたるバカじゃ。足が悪いのか?頭が悪いのか?」「どちらも悪いでしょう。」と私。老外科医は再び笑う。「はっはっはっ。その通りじゃ。薬局のイボコロリではなおらんよ。」・・・夕暮れ時、なぜか、井の頭通りの大井交差点から西を臨み、歩を進めていた。黄昏のスペクトル。オレンジゼリーの西の空。バイロンロートレアモン。懐かしい響きだ。