インターネット・カフェ・イン・コクトー・トゥインズ

インターネットカフェでキーを叩いている。カップ・コーヒーの脱脂粉乳のいいようのない舌先にひきづるあの不快感、不浄感。三条、といっても京都の三条ではなく新潟の三条である。ちょっとした遠出だ。観光でも仕事でもなく、坂口安吾の故郷へ行くこともなく、つまり「私は海を抱きしめていたい」でもなく、昨日の夜中の2時頃、突発的に部屋を飛び出して、バイクにまたいで北上した。新潟までのルートは大体友人に聞いていたので、彼の言うとおりに、環状7号線からの抜け道をバイクで走る。途中、ファミリーレストランで大いに眠り込けてしまったので、ついたのが今日の15時。簡素なビジネスホテルの硬いマットレスに身を預け、20時まで再び寝ていた。繁華街の鄙びたレコードショップで4ADからリリースされていただろうペーパージャケットの「ヘヴン・オア・ラスヴェガス」(1990)を奇跡的に買って、ポータブルCDプレーヤーで聴きながら、商店街を徘徊する。気取った犬ではない。秋田犬というのか、やたらに可愛げのある、しかし面目堂々とした犬が、さっとぼくの傍らを横切ったりする。最近野良犬をみかけなくなったと思っていただけに、嬉しい限りだ。ミスマッチなコクトーズのエリザベス嬢の美声、「ヘヴン・オア・ラスヴェガス」の一曲目、チェリー・カラード・ファンク・・・、誰が言ったか知らないが、「一人身の男には歌姫が必要だ。」これからどうしようか、ストリップにでも行くか?どうせ酒を呑んでいるんだろう。酔生無死。