BALL&CHAIN 13



■ いわくいいがたいことが・・・


わかりやすいことをわかりやすくいっても気分的にパっとしない。とらえがたいことをとらえ、とらえにくい言葉でいってもパッとしない。パッとするためにはある種の跳躍が必要になる。(たとえばメタファーに飛び乗る)。いわくいいがたいことが、最初からあるのではない。それは作られ、作りなおされ、少し外界に放つとまたまた複雑になってゆく。「あれか、これか」でつきすすんでゆく論理と「あれも、これも」でつきすすんでゆく論理はちがうプロセス。前者はあらかじめ自己限定していて、最初からやせ細った思考展開にしかならない。後者はブラックホール的な不可知論に辿り着き、思考が夕立前の雨雲のようになる。雨をさんざん降らせ、あとは思考のダイエット期に突入するための。食べたいだけ、食べ、すぐにダイエットすること。




■ 第四アンチノミー


「イメージ」を時間的に地層化されたものとして捉え、端的にイマゴンはそこに亀裂をいれたり、地層をずらしたりすることのできる力能だ、ということはつい最近記しておいた。「イマゴン、起動の前提」「イマゴン、表象から介入へ」「イマゴン、分層線」「イマゴン、クラック」とメモを記しておいたあと、エマニュエル・カントの『純粋理性批判』(1781)にはいっているアンチノミー論に目を通した。アンチノミー論は4つあり、それぞれ、別のレベルでものごとの(同一律に対する)矛盾律がとらえられている。そこで概念「イマゴン」を位置づけなおそうとあれこれ考えていたが、第四アンチノミーのみに絞って、考えてみるのがよりよいと察知した。カントは一見秩序家であり、建築的だが、その実、とんでもないこと(スケールが大きすぎること)を考えている。





■ 雲から抵抗へ


雲の動きを見る、すると天気予報があらわれる、といった連続性は、「事後」においてしか確認できない。明日はどっちだ?明日はこうだ。・・・雨が降れば当たり、晴れたらはずれ。事後から見た「have been」の過去完了と事前から見た「will be」は完全に対応している。「なにかを言う」、するとそれが刷り込まれて、「なにかを導きだす」。それ自体は、人類が言葉を使用しているかぎり、逃れることのできない宿命だ(ろう)。・・・この場合「言った言葉」が雲となる。言葉を放ったから言霊が生まれる。言霊は「最初からあった」のではないクラウド、コンフリクト。