BALL&CHAIN 7





現在15時58分。近所のターニング寿司でにぎりのえんがわをひさしぶりに味わってきた。カレイの生身を薄くスライスしたものであり、煮付けたものよりも、存分美味い。ガリも美味く、緑茶も美味く、味噌汁も美味く、なにもかもが美味い。アダージョで楽しむためのメリーゴーラウンド、その白馬のように輝く優雅な寿司たち。・・・昼のほどよい酩酊におおわれた頭で数分前に帰宅して、もうすぐ春だ、春か、という回帰への郷愁がだんだんと薄らいでゆく時間に、ずいぶんな餌を与えた、というついさっきのことを思い出す。





喪失と回帰、欠如と獲得。寒気が暖気に席を譲る。・・・ところで、赤道直下にはただひとつの季節しかない。ただひとつしかない、という意味では季節はない。日本における四分節の季節は、回帰の強調であり、起承転結の確保である。が、分節は線状ではなく、面状である。赤から青に移行するさいにかならず通過する紫であり、黒から白に移行する途上に必ず出くわす灰色である。紫、あるいは灰色はグリッドで仕切られるのではなく、必ず、面の上であいまいに、いたってあいまいに生成される。冬から春への移行期、グラデーショナル、あるいはマーブル状の乾湿、寒暖。これが最高の憂鬱、そして地獄の恍惚をもたらす。ここ10年くらい。





が、春には楽しみがひとつある。それはたくさんの女の子がおかっぱになる、ということだ。古風ないいかたで、おかっぱ。端的にショートにする、というのがより一般的なのだろう。アメリカ風にはボブ、ヨーロッパ風には、なんだろう?・・・淡い黄色の菜の花のようなロングスカート、丈をつめた薄手の短い革ジャンのなかには、シンプルな白いブラウス、足にはローカットのデッキシューズ風、あるいはスニーカーの白。髪型は、そう、おかっぱか、ポニーテイル。こういう女性はたまらん(笑)。楽しみである。・・・さて、16時22分になった。屁が出そうだ。