追悼 鴨田好史









映画監督、鴨田好史さんの逝去を今になって知った。かもさん、かもさんと呼ばれていて、ロマンポルノの巨匠神代辰巳監督の助監督をやってはった方なので、すごい人かと思いきや、とんでもなく気さくな人だった。そして「脚本を書いてくれないか」、と一度頼まれた。ポルノ映画の枠だったので冗談だろ?と思いつつ脚本は書いた。その後、出来上がった脚本を前にして、オーチョリオスで2時間ほど話し、翌日にまた呼び出されて八坂神社脇の蕎麦屋と鴨川沿いのいづもや、あと数件梯子酒をした。かもさんは羽振りがよかった。そのとき「これはあまり人には見せたくないんだが」と言って、監督したVシネのヴィデオカセットを貸してくれた。タイトルは忘れてしまったが、サックス吹きが出てきたのを覚えている。神代作品の余りフィルムで撮った『路上』にも新宿のサックス吹きが出てきた。(思い出横丁からアルタ前に抜けるあの地下道だ・・今はもう変わってしまったが)。どちらもいいシーンだった・・・これらは90年代後半の話・・・、数年前ゴールデン街でかもさんと付き合っていているという女性とたまたま会った。彼女は、気を使って、愛媛に電話をしてくれた。かもさんと少しだけ話した。それが最後になった。映画は撮れるうちに撮っておこう、と腹をくくっています。無念です。合掌。