真ベートーベン











●41 
この世でなすべきことはたくさんある。すぐになせ!

●42 
今やっているような毎日の生活をつづけてはならぬ!芸術もまたそうした犠牲を要求している。気ばらしをして休むのはいっそう力強い芸術活動のためだ!

●78 
重いまつげの下にあふるる涙が待ち伏せていようとも、断固たる勇気をふるって最初の努力をかたむけて、反抗し打ち破れ。汝の地上の遍歴の小道は、高く、あるいは低く、またどれが正しい道かほとんど見分けもつかぬ。そして汝の歩んだ足跡はたしかにいつも坦々としたものではなかろうが、しかし、徳は汝をまっすぐ絶えざる前進に汝を駆るであろう。

●101 
国家が憲法をもたなければならぬごとく、個々人は自分自身の一つの<規範>をもたねばらなぬ。

●102 
おまえの芸術のみに生きよ!今はおまえは<耳の>感覚のためにおおきい制約を受けているが、これがおまえにとって、唯一の生き方なのだ。

●107 
すぐれた人間の大きな特徴は、不幸で苦しい境遇にじっと耐え忍ぶこと。

●116 
冨を失うまいとして、貧乏人を避けてはならず、友情を失うまいとして友誼に欠ける友を避けてはならず、子供の死を恐れて、子供を生むことを断念してはならぬ。これらにはすべて理性をもって対処せよ。

●135 
魂の結びつきのない肉の楽しみは獣的なものにすぎぬ。あとに気高い感情のあとかたもなく、むしろ悔恨がのこる。

●140 
静穏と自由は最大の冨だ。

●146 
すべて不幸というものには秘密がいっぱいあるもので、そのままだとますます不幸が大きくなるだけだが、その不幸が知れわたるようになり、そのことを他の人と話すようになり、おそれていたことが、みんな知られてしまうと耐えられるようになる。そしてなにか大きな不幸が解決されてしまったかのように思うものだ。

●157 
われわれの遊星のうえに人間の意識が生まれてから5818年たつ。

●161 
愚鈍と貧困はつねに車の両輪のごとくである。

●181 
世間というものは、諂(へつら)われることを好む王様みたいなもので諂われれば機嫌をよくしている。しかし真の芸術というものは頑固なもので、諂われて自らを満足させていられるようなものではない。名高き芸術家は、たとえそれがまだ日のさしこまない胎内から芽生えたばかりにすぎないものであっても、彼の最初の作品が最良のものであるとの考えをつねに固く信じているものである。

●183 
われらがうちの道徳律とわれらが上の星の輝ける天空!カント!






以上、『ベートーベン 音楽ノート』より。