緊急建築ノート




■ 緊急建築ノート 仙川キューピー工場跡地






べつに緊急っていうほどでもないが
さきほど あたらしいたてものに出くわして
写真を撮っていたら
なにか書きたくなった それはそれで誰に迷惑かけるでもない

まず つい最近まで ここはだだっぴろい何もない敷地だった
それ以前は もっぱら工場らしい工場が建っていた
数年前 仙川にあるちょっとしたバーで仕事あがりのキューピーのパートのおばさんと
酔狂でたわむれていた ・・といっても 他愛のないおしゃべりをしていただけだが・・ 
こともあり
ああ つつじが丘のとなり駅の仙川にはでかい工場があるのだな という記憶だけが
のこされていた

今日の仕事が はやめにおわり 成城から仙川まで出てぶらぶらしていると ・・なにせ服をぜんぜん買っていなかったので 服をみようと思いついたのだ・・
甲州街道京王線のレールに挟まれたその空き地には
巨大なたてものが建っていた

まったくもって風景というのは突如として変わるのだな
というふかい感慨にうちのめされ
ブレヒトが主張していた「異化効果」 を 想起したりもした
永遠に完成されない または おとずれない ユートピア という決まり文句をも
おもいだしたりもした


まず たてものを守っているパーツの 三角のあつまりが眼をひいた
カンチューハイ(といってもなかにはいっているのはウォッカだったりする)の氷結のカンデザインが いつのころからか 三角形の集合になったことをおもいだしたりもしたが

そういう目立ちかたを三角形はするのだろうか

そのCMにパフュームが起用されていて 彼女たちが直角二等辺三角形ツアーをやったのも その時期だと思われる

京王線のほうから写真を3枚撮り、甲州街道に面している ファサードのほうがきになって回ってみた 
そこにいろいろな事項が記載されている看板があり ・・それは専門的になんというのかはおれはしらない・・ それも写真にとっておいた


ところで
キューピーの代表取締役は 三宅峰三郎といい 名前のなかに三がふたつもある
おそらく <みやけみねざぶろう> と読むのだ
イニシャルはMMで おそらく 
数字で気になるのは常に3
アルファベットで気になるのはMだったりする


なのでこの三角形のデザインは 合点がいくのだ


「三宅の三ちゃんって、ほんと、駄洒落がうまいわね。」
「・・・そうかね、まんざらでもないが。」


そういう会話が聞こえてきそうだ


と ほんとうの設計者がいったいだれなのか 佐藤健という人なのか 調べてみたけど
建築領域では なにもでてこなかったので あまり著名でない人なのかもしれないし
それは おれのしったことではない


このたてものが完成するのは まだまだ 先のことだが 甲州街道を よく走っている人ならば やけに目立つたてものができたもんだ あれは何のたてものなんだろう ともやもやするにちがいない

また バッキー・フラー(バック・ミンスター・フラー)のジオテックドームも
三角形の集合を建築造作に利用したもっとも有名な例で リサイクル建築というコンセプトを打ち出した前衛だが あれはさまざまな図版をみているかぎり 球形をなしている 球形をつくりあげるのには正四角よりも正三角のほうがむいている

このキューピーの工場跡地にできるたてものは フラーのことなんかちっとも意識していやしない し 関係ないだろう それはそれでかまわない

おれがいいいたいのは 風景は一変するものだ 突如に ということだけだったのかもしれない が ここまで書いてしまったので あとには引けない という気分だ おわり