三軒茶屋のマクドナルドのソフトクリーム 2




Tさんが参加しているグループ展にいってきた

連れあいと14時に新宿南口に待ち合わせる予定だったが
午前中 ピアノの上に特盛りマウンテン状態になっている洗濯物を一気にかたずけたり 
野外用のデッキチェアに腰掛けて腕組みしていると 時間をくってしまった 
14時30分に変更してもらった

外は暑くもなく寒くもない気候で のどもそんなに乾かない
遅刻ということで彼女はアイスをねだり 会場のすぐそばにあるファミリーマートで チョコ味のアイスクリームと 手土産のシャンパンを買った 

Tさんはピンク色のシャツを着こんでいてそれはとても洒落ていた 
シャツのすそはデニムのうちっかわにちゃんとしまいこまれていた
だらしないかんじがしない

絵は母親が子供を抱いている 象徴的といえば象徴的なもので こういうのは珍しいなと感じた 素朴なリアリズムとでもいえばいいのか なにしろ 服の皺がていねいに表現されている

この手法はねえ 人間の肌を描くのにはあまり適していないんだよ
そうなんすか
硬いものを描くのに適しているんだ たとえば車のボディとか
そうすか
そういう会話をした

ところで どういう手法なんでしょう と聞くと
ワトソン紙という聞いたこともない紙に
漫画家や漫画家の卵が使うようなGペンで こまかい線を描いている 
ということだった

ていねいに とり肉のササミが細かく一本一本さいてあるような
緊張感のある細さで そして少し温度のある感じだ

のがみくん、さらにこのインクは時間がたつとアクリル質になっていくんだ
だから あとで上から水彩で着色できるところがおもしろいんだ 
ということだった

そのおもしろさを体験したことのないおれでも 
それはおもしろい と思った

会場を出て まだ外は明るく 新宿の群集の表情も明るくみえた 
西口のほうを回ったがしっくりくる店がなかったので東口のほうに回りなおした
とある店で彼女は 
金魚 
と名づけられたチューハイを注文した

金魚ってなんだ と聞くと
中に金魚が入っていてひらひらと泳いでいるの と彼女はこたえた
そうか と楽しみにしていたが
出てきたのは
赤い唐辛子が2本 氷のすきまから頭をのぞかせていて
さらにジョッキのなかほどにオオバを沈ませたものだった
ソーダの透明性がよけいにひき立つので 見た目がとてもいい

なるほど これが金魚か 
凝ったことをするものだな 
悪くはない

味はからい ということだった

結局はしごして16時あたりから22時すぎまで呑んだ
おれよりも彼女の方が強いと 思われた


あいまに 彼女が 花園神社にいきたい といったので いった
ゴールデン街のすぐよこっちょにあるものだと記憶していたが やや離れていた

ところで
彼女はとてもめずらしい めずらしいけど たまにみかける色の服を着ていて
その色はなんというのかを聞いた

シチリア産ブラッドオレンジ ということだった
ということは
ヘルシンキ産ブラッドオレンジとか そいうものもあるのかな
ないだろう あるわけない そういうことじゃあない
おれは自分に言い聞かせた

ブラッドオレンジといえば シチリア産のことで
それでつくったジュースは驚くほど美味いのだ

と彼女はアピールした

アピールされても おれは飲んだことがないので 
トロピカーナとかサンキストとか
そういうものから想像するしかない 

それはそれでいいと思う