流れ



昨晩は『れろれろくん』についてずっと考えていたのだが、頭が痛くなってしまった。ぼくが『れろれろくん』を買ったのには、ちょっとした事情がある。それはぼくのパートナーであるジュリが『れろれろくん』を岡崎乾二郎から直接もらったということに起因している。岡崎乾二郎の講演会か何かをジュリの勤務先の大学で、荒川修作&マドリン・ギンズに弟子入りしていたという小野さんという人たちといっしょに企画した際にもらったということだった。その話を聴いたぼくは、「とてもうらやましい」と思い、近くの品揃えの悪い本屋でさっそく注文し、読んだのだが、どうも、『れろれろくん』を語るのは難しいな、と『れろれろくん』を語るのを敬遠していたのだ。ぼくは『れろれろくん』を「心の底から読みたい」と思って読んだのではなく、ジュリがもらったということが「うらやましい」から買って読んだのだった。しかし、どういった風の吹き回しかは定かではないが、今こそ『れろれろくん』を語らねばなるまい、と思い、もう一度、じっくりと時間をかけて読み直し、寝しなにずっと『れろれろくん』のこと考えていたのだった。あまり寝ていない状態で電話で起こされた。とても久しぶり(着信履歴の画面で確認すると15日ぶりだった)の電話だったので、びっくりして起き上がり、新宿へ向かうことを約束した。京都時代の友人と会い、べらべらといろんなことを喋ったり、映画や文学について主張しあった。むかしむかし、ぼくの8mm映画の撮影をしてもらっていたタズという人物が「これからジム・オルークに会わなあかんねん」、と言うので、ぼくは久しぶりに「ミーハー心」を発揮して、ジム・オルーク坂田明とヨシミがセッション・ライブをしている新宿ピット・インまで一緒に行った。ライブも終盤だったため、中にはいることができた。アンコールの曲だけ聴けた。むかしむかし、ジュリと「大流止」(デカルト)というバンドを遊びでやっていて「クラブ・イースト」という地下の空間で2回だけライブをしたのを思い出した。「大流止」(デカルト)の音源は、基本的に「ズタズタ感溢れる」カット&ペーストの寄せ集めをサンプリングマシーンで純粋感覚的に解体・再構築したもので、その中にジム・オルークの『ユリイカ』の3曲目(わりと太い声の女性のコーラスがはいるやつだ)が使われていたのだった。でも遠くから見たジム・オルーク、かっこよかったな。オレンジのシャツ。青っぽい照明。